私が出会った「素敵な看護師さん」

ガン

みなさん、こんにちは。
今日は前回に続いて、私が緩和ケア講習会でお話ししたもう一つのお話をしようと思います。

みなさんも多かれ少なかれ医療機関で看護師さんにお世話になった経験ってありますよね。
私も今まで36年間生きてきて、たくさんの看護師さんにお世話になりました。
とりわけガン闘病中に出会った看護師さんは私の人生に大きな影響を与えてくれました。

「看護師さんってとても素敵な職業だな」と思います。
そんなふうに思うようになったのも、素敵な看護師さんに出会えたからだと思います。

第一印象は…イマイチだった。

このお話は、私が約3ヶ月のガンの治療をした時の話です。
入院初日、私の病室にすぐに受け持ち看護師さん(Nさん)が挨拶に来てくれました。
私は挨拶に来たNさんを見て、すごくがっかりしたことを覚えています。

なぜなら、彼女の胸に初心者マークがついていたからです。
そしてそのがっかりがすぐに確信に変わることを感じました。
というのも、彼女は何をするのにも下手でした。

私は今まで点滴が取りにくいと言われたことはなく、採血しやすい腕だと思っています。
しかし。その私の腕でNさんは全然、点滴を取ることができませんでした。
何度トライしても、取れないんですが…すごく申し訳なさそうに、
でもひたむきに私の点滴を取ろうとしていました。

例えば、針を刺す角度を変えてみたり、腕を温めてみたり…ありとあらゆる策を講じるも、なかなかうまくいきませんでした。

「ひたむきな姿」に心を動かされる

そんなひたむきな彼女を見ていると私は自分自身の教員1年目を思い出しました。
私が教員になりたての1年目どうだったかなぁ…と振り返ると
ほんとにクソみたいな授業で、全然深みもなく面白みもなかったです。

そんな私がなぜ10年以上教員を続けていられるんだろう?と思うと、
やっぱりクソみたいな授業を一生懸命聞いてくれた生徒達がいて
私の授業から何か1つでも学ぼうとする、あのひたむきな姿があったからこそ

私は今こうやって仕事を続けていられるるんだなぁ〜と思うと
なんだかNさんを責めることができなくなりました。
そしてNさんを応援したくなりました。

「強力な協力者」に人はなりたがる

私はNさんと秘密の約束を結びました。
それは「何回でも私の腕で針を刺してもいい」という約束でした。
何回でも刺す代わりに、「退院までに一度は一発で点滴を取ろうね!」と約束しました。

私が入院していた医療センターでは、1人の医療従事者が患者さんに針を刺すのは2回までと決められていました。
私は毎回もれなく3回以上針を刺されていましたが…(Nさん2回+先輩看護師)

そこからは彼女と私の二人三脚が始まりました。
が、しかし…なかなかうまくいかず。
結果的には入院中、1度も一発で点滴を取ることができませんでした。

最後の最後、成功したんですが…でも結局、液漏れしてしまって
私の腕が腫れてしまいました。
でも私は、彼女のひたむきな姿に我が身を振り返得ることができて
元気になってもう一度教壇に立つことができたら、初心に戻ってもっともっと邁進しよう!と思いました。

人の心に「寄り添う」ということ

私はNさんの看護にものすごく満足していました。
退院日、私のもとにもう1人の看護師さんが訪ねてきました。
その看護師さんは、Nさんのプリセプターです。

「どうでしたか、Nの看護は?」と聞かれたので、
私は先ほど述べたような、我が身を振り返ることができて非常に満足した旨を伝えました。

すると…先輩看護師さんが話してくれました。
「実はね…Rinさんが入院してすぐの頃、Nが泣きながら相談に来たことがあるの。
「ある時ふとRinさんの病室を訪れたら、Rinさんが泣いてた。
Rinさんが非常に悲しんで苦しんでいるのがわかるから、なんと声をかければいいかわからず、『また来ます』と逃げてきてしまいました。
『大丈夫ですよ』とか『一緒に頑張りましょうね』とか
何か声をかけられたはずなのに、どの声かけもRinさんに失礼な気がして…
本当に苦しんでいるのがわかるからこそ、簡単に言葉を発することができなかったんです。あの時、私はなんと声をかけたらよかったのでしょうか…」

って相談に来たことがあるんですよ。」

 

そのエピソードを聞いたとき、私はものすごく嬉しくなりました。
私はこんなに心の綺麗な優しい看護師さんに見ていただけたんだなぁと。

ものすごく胸がいっぱいになりました。
そして人の痛みに寄り添うことの大切さを、
20歳そこそこの新人看護師さんから学びました。

あの時のNさんの問いかけに、今答えるとすれば、
私は何の声かけも望んでいませんでした。
あの時の私は絶望の淵に立っていて、いろんな人のことを見て羨ましがっていました。

病室にお茶を運んできてくれるおばちゃんやゴミを片付けるおじちゃん
明らかに私より歳をとっていて足を引きずっているけど
「いいなー、あの人がんじゃなくて」

といつも頭の中で、全ての物事を
ガンの私とガンじゃない人で区別していました。
だからこそガンじゃない人に何を言われても、私の心には響かなかったのです。

Nさんが「また来ます」と言って去っていったのは正解だったかもしれないなと今になって思います。
絶望の淵にいると、誰のアドバイスも入っていかない…
そんなことがあるのかもしれません。私はそうでした。

私の目指す「一歩先の未来」とは…

今振り返ってみると私の周りにはたくさんの優しい世界があったんだなと思います。
私は元気になったら『優しい世界をつくる人になりたい!』と心の底から思えるようになりました。

それは素敵な看護師さんだけじゃなく、いろんな人に出会ったからです。
またそんな話もどこかできればいいなと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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