私が出会った「素敵なお医者さん」

ガン

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
先日、縁あって私の治療していた病院で行われた緩和ケア研修会に参加させていただきました。

その研修会は緩和ケア医療を目指す医療従事者の方が対象で、主に研修医の方々が30名程度集まっていました。
私は20分程度の時間をいただいて、「ガンになって思ったこと」や「体験者の経験談」をお話ししました。

私はプレゼンテーションする際、「プレゼンテーションはプレゼント」だと思っています。
今回お話をすることで、参加された医療従事者の方々にどんなプレゼントを残せるかな…ということを考えて、私は2つのお話を用意しました。

話した内容を記録として残しておきたいと思います。

「誠実」とは何か?

1つ目のお話は、「誠実とは何か?」というテーマ。

私は倫理という科目を担当しています。
倫理というと、「小難しい昔の話」とか「哲学」とか…嫌煙されそうですが、私はいつも「考える倫理」というのを念頭に授業展開しています。

「誠実って何だろう?」というテーマで授業を行うことがあります。
生徒たちに聞くと、「誠実って嘘をつかないこと」「真面目なこと」「優しいこと」など色々な定義が返ってきます。

その時に、私は彼らに問いかけるのです。
「それは誠実の一部であって本質ではないのでは?」と。

手品師の約束〜道徳の副読本より〜

1枚の資料を提示します。
この資料は、小学校の道徳の副読本の資料なんですが
一部抜粋して説明すると…

売れない手品師が路上で手品をしていました。
そこに家庭環境の恵まれていない少年がやってきます。
そして、とってもうれしそうに手品師の手品を見ます。

少年は「お父さんもお母さんも働きに行っていて家には誰もいないんだ。おじさん、明日もここに来る?」と聞きます。
すると、その手品師は「もちろん、来るとも。」と答えます。すると、少年の表情がぱっと明るくなりました。

「明日もここにおいで。僕は君のために手品をするよ。」と言って別れるのです。
その日の夜のこと、手品師にビックチャンスが訪れました。
友人からの連絡を受けて大舞台に出るチャンスを得ることができました。
何と、その大舞台は明日だったのです。

手品師はすごく迷いました。
この大舞台を次のチャンスに生かせる、今までずっと花開かなかった自分がようやく花を開くことができるのだ!と。

ただその一方で、あの少年の笑顔が忘れられませんでした…「明日もここにる?」って言うあのキラキラした眼差しが忘れられませんでした。
結局、手品師は友人に電話をかけてビックチャンスを断るんです。

「誠実」の本質ってなんだろう…

この話を生徒たちと一緒に読み込むと、ある生徒が言いました。
「先生誠実って変わらないことかなぁ」って。
私はその生徒に「よく気付いたね!」って言いました。

誠実って、変わらない何かを持つことだと私は思います。
「どんなに時代が変わっても、どんなに環境が変わっても、ぶれない何かを持つ」っていうことが誠実なのではないかと思います。

「変わらずに居続けることも、とっても尊いんだよ。変わっていくことも、もちろん尊いんだよ。」と話をします。

例えば…うちの学校にも誠実じゃない先生はいっぱいます。
校長先生にはペコペコして、でも若手の職員には横柄な態度を取る先生。それって、全然誠実じゃない。
それに対してヤンキーはどうだろう?
ヤンキーは一貫して突っ張ってる。先生に対しても、クラスメイトに対しても、両親に対しても、ずっと突っ張ってる。
それってすごく誠実だと私は思うんです。前置きが長くなりましたが…

私が出会った誠実な医師

 

私は同じような経験を入院中にしました。
私は今から3年前の11月3日に首のしこりがわかって、
その時に主人が「これちょっと変だから救急病院で診てもらおうよ」と言って近くの救急病院に行きました。
そこでMRIを撮っていただいて、その時の救急病院の先生は「悪いものじゃなさそうだから、また3ヶ月後においで」と言いました。

でも、なんとなく「これ3ヶ月ほっといてたらまずいんじゃない…」って思ったので、翌日かかりつけの耳鼻科に行きました。
すると、かかりつけの耳鼻科の先生は「もうちょっとクリアな画像が欲しいから、造影剤入りの画像が撮れる病院に受診してください」と言いました。
造影剤入りの画像を取れる病院を受診して…ってこれで3カ所病院を巡りました。

その3カ所の先生たちに共通していたのが、「悪いものではなさそう」という診断でした。
私は「悪いものではなさそう」という情報だけが頭にインプットされていました。

初めて医療センターを受診した時にも、「まぁ、1年後ぐらいに首のしこりはとればいいかなぁ」と思っていました。

そして、初めて主治医に出会いました。
私は先生に聞きました。「先生、この首のしこり悪いものでは無いですよね?」と。

すると、先生は一言。
「わかりません、だから切るんです。」と言いました。

私は、その時「おそらく悪いものではありませんよ」って言って欲しかったんだと思います。
けど、私の主治医はそうは言いませんでした。そして私は手術をすることになりました。

先生は「僕がオペできる日はもうこの日しかないから…」と受診して1ヵ月もたたない間にあれよあれよと日程が組まれていきました。

そして1週間の手術入院が終わったとき、たまたま私を見ていただいた先生は主治医ではなく他の先生でした。
その先生が帰り際に、「悪いものでなければ1週間で結果が出ます。」と言いました。
私はその当時、悪いものではないと信じていたので、「はい、分りました」と返事をしました。

そして待つこと1週間。
「検査の結果がまだ出ていないので、もう少し待っていてください」との電話が入りました。
その時、私は半ば告知されたようなものでした。
そこから、「首 しこり ガン」で検索しまくりました。

そして私の中でガンなのは確定で、私は悪性リンパ腫に違いない!と思って告知を受けました。
すると…主治医が

「Rinさんの首のしこりは、リンパ節転移で大本は上咽頭にあります。」と言いました。
私は思ってもみないことを言われたので、上咽頭…どこそれ?と思いました。
思考停止状態だったので、当たり前の2つの質問をしました。
相当フリーズしちゃったんでしょう…

Rin
Rin

「何もしなければ、死にますか」

「わかりません。」

このやりとりだけを読むと、みなさん私の主治医に冷酷なイメージを持つでしょう。
私も「治ります!一緒に頑張りましょう」って言ってほしかった。
しかし、この会話のあと

「ただ、Rinさんのガンは放射線治療が非常に良く効くガンなので試す価値はありますよ」と言いました。
私は「人は必ず死ぬ。でも今じゃない!」と強く思ったので治療をする決断をしました。

そこから3年経って、当たり前の日々がようやく戻ってきました。
1年に1回大きな検査をするたびに、私は聞かずには居られないのです…

Rin
Rin

「私のガン、治りましたか?」

「わかりません」

 

「ただ、画像上では目に見えるガンはなくなっていますよ。細胞レベルまではわからないけどね」と。

そのたびに思うんです。
この先生は変わらないなぁ…と。私が告知されてどん底の絶望を味わったときも、当たり前の日々が送れるようになった今も、変わらずに私の前にいるな、と。
そんな誠実な主治医に巡り会えた私は本当に幸せだと思います。

 

 

ちょっと長くなっちゃったので2つめのお話「私が出会った素敵な看護師さん」はこちらからお読みください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
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